あの頃はよかった・・ 我が国は活気をおびていて、 皆が幸せに満ちあふれていた。 しかし・・いつの頃からだろうか、 敵国は増殖の一途をたどり・・ 数々の抗争により、我が軍は、 もはや風前の灯火である。 胸毛だの脇毛だのち○毛だのといった、田舎侍どもが私腹を肥やし・・ 最近ではギャランドゥなどと、どこの国のものかわからぬ輩までおる。 今日も、 カランを右に回せば、戦いの鐘が鳴る。 皆一斉に、戦場(洗浄)へと赴く。。 熱いシャワーの砲火を浴びて シャー ガシガシ 「うわぁー助けてくれー!」 「ぎゃー死にたくない」 叫びとともに仲間の姿が消えて行く。 谷底のタイルは、仲間の骸で溢れ帰る。 とその時・・ 弟の姿が、今にも頭皮から離れゆこうとしているのを見た。 私は手を伸ばして、すんでのところで弟の右手をつかんだ。 「おい! しっかりしろ!」 「この手を離すんじゃないぞ!」 「ありがとう。 ・・でももう駄目だよ。 あの頃は楽しかったね。 パーマにされても、 茶髪にしたって、僕らはへっちゃらだった。 ・・もぅ駄目だ、下水の向こうで待ってるよ。 海で会えたらいいね・・ パーマ似合ってたよ・・兄さん」 「駄目だ・・絶対に離すんじ・・」 「おいったかし!」 「たかしー!」 幼き日の苦労を共にした我が弟。 毛利隆 討死(享年5ヶ月) 間もなくして横から聞き慣れたあの声が・・ そこには・・ 「助けておくれー!」 タイルへ貼付けにされた母君の姿。 「動けないんだよー!どうにかしておくれー!」 「母君ー!!」 「わん!わんわん!」 「ポチー!!」 「もはや・・これまでか・・」 「今・・ 今・・助けに行くからなー!」 「どりゃー!」 「毛根ばんざーい!」 私の体は中空へと投げ出された。 同時にシャンプーという近代兵器が、 タイルの上で我が身を滑らせ、 あっという間に 真っ暗な排水溝へと導いて行った。 排水溝内は、 落ち武者の骸であふれ、魂が泣き叫ぶ。 薄れゆく意識の中で 髪の毛としてこの世に生まれし、 自分を恨む。 無念・・ 毛利髪就 排水溝にてその生涯を終える。享年6ヶ月。
by sumilog_tenmado
| 2008-02-13 23:12
| ミクロ ドラマ
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